Boys Kissシリーズ・『バレンタインのキス』
「それにしても、甘いなぁ」

ぺろっと唇を舐めた彼の眼に、危ない光が宿ったのを見て、ボクは一歩後ろに下がりました。

こういう眼をしている時の彼に近付いてはいけません。

ハッキリ言って、危険だからです!

でもボクの運動神経は並み。

人よりズバ抜けている彼の手に捕まるのは、あっという間のことでした。

「何で逃げるんだよ?」

「何かメチャクチャ身の危険を感じたからです」

両手首を捕まれ、身動きできないボクの顔を、彼は楽しそうに覗きこみました。

「そんな顔しないでよ。オレはキミの恋人なんだよ?」

「知っていますよ!」

そんなこと…言われるまでもないことです。
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