たまゆら
「今日から電車だから早く起こしてて言ったじゃん。」


「あら、高校生だから目覚ましで起きるって言ってたじゃない」


「それは……そうだけど」

私が言い淀んでいると畳み掛けるように、自業自得よ〜と捨て台詞を吐いて軽やかに階段を下りて行った


毎朝だけど悔しい。一度ぐらい言い負かしてたいのにと地だんだ踏んでいると察したかのように


「いつまでもいじけてないでもう40分よ〜」


と下から催促の声が響くから不思議。なにか通じるものでもあるのかなと考える……隙もなく時間が迫っている


「祝☆高校生デビューだから綺麗にしようと思ったのに」


結局、毎朝と同じく髪を軽く梳いて歯を磨いて顔を洗って化粧水で終わり。朝ご飯は


「いふぇきまふぅ」


玄関の扉を開けた私の口にはサンドウィッチ。古典的な朝の風景を再現しつつ足速に駅へと急ぐ。


今日から高校生となる私は家から電車で35分の私立聡藍学院(しりつそうらんがくいん)に入学。私立聡藍学院とは明治より続く由緒正しき学院。基は華族等の上流階級の御子息・御令嬢為に設立された名残からか学院の1/3は上流階級の方々が占め、残りは奨学金制度によりスポーツ・芸術・勉強の優秀な子や可能性を秘めていると見出だされた子が占めている。
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