たまゆら
「じゆう?なんて読むんだろう。私の後だからしで始まるんだろうけど」


「でも、次の子は新田だから、しじゃないかもしれないわよ」


なんて聞き飽きた会話が聞こえてきた。私の苗字は変わっていて必ずと言って読んでもらえない。なぜなら

「慈しむの慈と遊ぶの遊で、なりながって読むの」


どう考えても一般的な読み方じゃないから。変わってて話のネタになるけど、いいがげん飽き飽き。御先祖様はなんでこんなんにしたんだろ。


「なりなが?珍しいね。」

「えっ」


「えっあの、珍しい苗字だね。慈遊さん」


キュルンと効果音が聞こえる満面の笑み。例えるならリスぽいかな?ジャンルでいくと……妹キァあ〜ダメだあ危うく引き込まれそうに。えっと私は怖がられるのです。初対面の特に女子は、さっきみたいな会話が聞こえて答えたら「キャー」って行くのが常。だ・か・ら空耳だよね。てか幻聴・幻覚ヤバいな〜私。うん、うん納


「なに頷いてるのかしら?」


カッン靴音を響かせリスちゃんと私の間に立ちはだかるきょにうぅ〜うっとりスレンダー美人。見下されてもしゃぁ〜せぇ〜。思わず顔がにやける〜じゃなくて、質問に答えなきゃ……ヤバい……なんだっけ質問?……めっちゃオロオロ……まさに
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