ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 俺はまだ残る両足の痛みに顔をしかめながらも、走って兄貴を追った。


 兄貴が向かったのは、あのパソコン野郎から無責任な情報提供を受けた『ノーマ・ジーン』というバーだった。


 店に入ると、深夜にも関わらず、物騒な奴らでひしめき合っていた。


 時間帯が違うためか、前回来た時とは客層が違う。


 兄貴は立ち止まることなく、カウンターの中へ入って行き、そこで接客していた小洒落た中年の男に、


「用事すんだから、代わるわ。もうあがってくれ。」


 と言った。


 明らかに年上の男に対しての、兄貴の上から口調に、バカな俺でもその上下関係は推測できた。


 中年男は、軽く会釈するとカウンターを出て行った。



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