ロシアンルーレット【コミカルアクション】
「そろそろお開きだ。今日は大事な客が来てるんでね。皆帰ってくれないか?」


 兄貴がそう言うと、明らかに釣りが出るであろう程の金額の札を惜しげもなくテーブルの上に置いて、全員残らず店を出て行った。


 ウエイトレス達が慌ててグラスを片付け始めると、


「明日でいいよ。」


 と魅惑の笑みを向けて兄貴は優しく言った。


「はい。」


 と答えた彼女達の顔は、恐怖で強張っていた。


 可哀想に…


 どうせホステス並みの高い時給貰ってんだろうけど、こんな身を削るような想いをしょっちゅう体験するんだとしたら、それでも安いくらいだ。


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