ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 二人きりになると兄貴は、


「不快な思いさせて、悪かったな。」


 と申し訳なさそうに謝った。


 いやいや、俺に不快な思いさせた張本人は、まぎれもなくあんただし。


 そんな本音、この状況でチキンの俺が口にできるはずもなく、


「ああ、別にいいさ。ここはそういう店なんだろ?」


 などと平静を装って軽く皮肉って言ってみた。


 そんな俺の言葉に兄貴は苦笑しつつ、自分の腕時計に目をやり、


「そろそろかな。」


 そう言って、店が暇な時にでも観るんだろうか…カウンター内の隅に置かれた小型テレビの電源をリモコンで入れた。


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