ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 署へ戻ったがまだ蔦山さんの姿はなく、俺は例の情報処理担当の無愛想な若い女へ近付き、


「蔦山さん、どこ行ってるか知らない?」


 と尋ねた。


 女はキーボードを叩く手を止め、これ見よがしにため息をつくと、椅子を回転させて俺の方に身体を向けて俺を見上げた。


 仕事を中断されたのがよほど気に入らないらしい。


 愛嬌のない顔にさらにイラつきさえ読み取れる。


「監察局の田中さんに呼ばれて、久米沢和馬の自宅に行ってます。」


「田中?誰、それ?」


「さぁ…?」


 女はどうでもよさそうに首を傾げた。


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