ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 兄貴を追うことなんか考えなかったさ。


 だって俺はこの時、ただの高校生だったんだ。


 何も考えず、ただ学校へ嫌々通ってるだけの、どこにでもいる高3男子。


 『事件現場の物には触れるな』なんて、そんな鉄則とも無縁の普通の17歳。


 母は虚ろな目で、もう俺に視点を合わせることすらできず、


「りゅう…いち…」


 消え入りそうな声でそう囁くと、俺の左手に何かを握らせ、そして…


 力尽きて静かに目を閉じた。


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