ロシアンルーレット【ｺﾐｶﾙｱｸｼｮﾝ】

「お帰り、皆人。」


　男はそう言うと、片手でマスクを顎の下へ除けて、見覚えのある笑顔を露わにした。


　兄貴!?


「すぐ出してやるって、こうゆうことかよ!?」


　思わず叫んでしまい、脇腹に激痛が走り、


「ってぇぇ。」


　と顔をしかめた。


　兄貴はそんな俺を鼻で笑い、


「大げさだな。こんなもん、転んだ時に出来る掠り傷とたいして変わらない。」


　そう言って、俺の傷口を、応急処置であてがったガーゼの上から、ポンポンと軽く叩いた。