ロシアンルーレット【コミカルアクション】





 その日の仕事はこれが最後で、俺は早々に帰宅を許された。


 給料日の夕飯はリッチにディナーと決めている。


 俺は厚かましくも、花屋の彼女を誘うことを思いついた。


 彼女のいる花屋へ行くと、赤メガネと彼女が忙しそうに店頭の花を店内に運んで閉店の準備をしていた。


 俺はさりげなく手伝いながら、彼女に視線を送った。


 彼女はそんな俺をチラチラ見て気にしながらも、手を休めることなく作業を続けた。


 すべて片付け終わると、俺は彼女に『食べる』ジェスチャーをして見せ、


「一緒にどうかな?今日給料日だし、おごるよ。」


 また赤メガネがスケッチブックを持って、張り切ってこちらにやって来たので、今回俺は、スケッチブックと鉛筆を赤メガネから奪い取り、『メシ』『一緒に』とでかでかと書いて彼女に見せた。


 彼女は申し訳なさそうに首を振った。


< 34 / 463 >

この作品をシェア

pagetop