ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 現実に起こっていることとは、どうにもこうにも思えず、半信半疑で振り返ると、先ほどまで俺たちの頭上を覆っていた屋根が、ただの鉄の塊となって、ガンゴン左右交互に角を弾ませながら遠ざかる。


 それをBMWは難なく避けると、引き続き執拗に追ってくる。


 狙撃手を失ってもまだ任務を続行するその根性、素敵だね、拍手喝采に値するね、ホント。


 などと呑気にBMの運転手を評価していたら、またしても女が急にハンドルを切り、俺はサイドウィンドウに思いっきり頭をぶつけた。


 もう…イヤッ…殴られたり、ぶつけたりで、俺の頭おかしくなりそうだし。


 あ、もともとおかしいか…ハハ…


 女はあろうことか、Uターンをかまし、対向車の隙間に入り込んだ。


 後続車多数の為、BMは追跡を断念、めでたしでたし…って、お~~~い!!


「ふざけんなぁ!!俺と心中する気なら先にそう言え!!」


 堪らす我を忘れて、女に怒鳴りつけた。



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