ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 数100メートル程歩いた先に、別のセダンが停車してあり、女は迷わずその運転席に乗り込んだ。


 俺たちが、重い身体を引きずる様にして、遅れて車まで辿り着くと、ガチャッと音を立ててトランクが薄く口を開いた。


「蔦山さん、どうやらまたココらしいです。」


 俺はその開いた隙間に手を差し込んで持ち上げ、苦笑混じりに伝えた。


「寂しい事言うじゃねーか、有坂。お前も一緒にどうだ?なかなか快適だぞ。」


 ドスの利いた低い声で、俺を睨みつけて言う蔦山さんは、やっぱり俺にとっては脅威の存在だ。


 思わず視線を逸らして、


「遠慮しときます。」


 と、丁寧に断った。






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