ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 恐ろしくて想像したくない。


 今の兄貴は、まるでスイッチが切り替わったかのように冷酷で、まるで別人だ。


 道理で女にロボットだの、性欲がないだの(性欲は関係ねーか!?)言われる訳だ。


 俺が、これから蔦山さんに訪れるであろう過酷な運命を思って顔をしかめていると、不意にまた兄貴が振り返った。


 慌てて顔を、平常に戻すが遅かった。


 兄貴は、振り向いたまま俺から女に視線をずらし、目で合図すると、女は頷き出口へ向かった。


 立ち止まって振り向き、


「皆人」


 と、今日半日一緒にいて、一度も聞かなかったような優しい声で呼ぶ。


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