ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 兄とは5つも歳が離れてて、かぶって学校行ったのが小学校1年間だけだったおかげで、出来のいい兄と落ちこぼれの俺が、比較されることはあまりなかった。


 その点については両親に感謝しないとね。


 母は、優れた兄と出来の悪い俺を、分け隔てなく愛してくれた。


 とても包容力のある、優しい母だった。


 父は仕事がすべての人で、家庭のことにはあまり関心がなかった。


 そんな父でも、何でも完璧にこなす兄には多大な期待をし、兄にだけはごくたまに、声をかけたりもしていた。


 俺のことはまるで存在しないかのように振舞った。


 母の愛情に守られていた俺は、そんな父の、『お前は有坂家の恥さらし』とでも言わんばかりの態度を、さほど気にも留めず、逆に父の期待に縛られないのをいいことに、伸び伸びと育った。






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