ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 たった今、スイッチが入った兄貴を俺も見た。


 己を殺すことで、兄貴は冷酷な拷問人に徹しようとしてるのか…。


 そんなこと考えてたら、不意に勢い良くドアが開き、兄貴が颯爽と部屋から出て来た。


 返り血を浴びて深紅に染まった服を、荒っぽく剥ぐように脱ぐと、それを自分の左前腕に慣れた手つきでぐるぐる巻き付け、その上から右手でギュッと握った。


「全部吐いた。準備しろ。」


 歩を止めることなく、廊下にいた仲間達にそう言うと、そのままどこかへ歩き去った。


 全員が、兄貴の言葉にすぐ反応し、廊下をさらに進んだ奥の部屋へ消えた。


 廊下は一瞬にして、人影を失った。



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