ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 俺と女だけが、その場に残され、廊下の冷たさが一層際立って感じた。


 俺は兄貴が出てきた部屋へ、近付いた。


 兄貴はあんなにも慌てていたのに、扉はご丁寧にきちんと閉めていった。


 ドアノブに手をかけようとすると、


「皆人、見ない方がいいわ。」


 女が優しく言い聞かせるように言った。


 俺は女に横目で視線を投げ、すぐに逸らすと、ドアノブを握り、その重い扉をゆっくり開いた。


 蔦山さんは、部屋の隅っこで、壁に寄り掛かるようにして腰を落とし、足は人形のように投げ出していた。


 全身血だらけで、いったいどこが傷口なんだかわからない。


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