ロシアンルーレット【コミカルアクション】
「キスしてもいいか?」


 今度は声に出して呟いて、左手でノアの後頭部を支え、左右に揺れ動く唇を、俺の唇で捕らえた。


 その瞬間、金縛りにあったようにノアは動きを止めた。


 ノアの口から嗚咽が漏れそうになるのを、俺の唇が塞いでそれを許さない。


 お前の悲しみがすべて、俺の中に流れ込めばいい…。


 俺なんかの為に、泣くな…ノア…


 ノアの俺への想いを十二分に受け取って、俺は女々しい未練を断ち切ろうと、足早にその部屋を出た。






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