ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 俺がキョトンとしていると、兄は益々顔をクシャッとさせて笑い、


「皆人…お前は、誰かに媚びたり、気を遣ったりせず、常に損得なんか考えずあるがままに生きてる。そんなお前は、人間として本当に魅力的だ。いつか、わかる時が来るさ。」


 そう言って俺の左肩を右手で軽くトン、と叩いた。


 ものは言い様だ。


 『我がままで自分勝手』という俺の欠点が、兄にかかれば素晴らしい長所に早変わり。


 そんな兄に、俺は何度も救われた。


 兄は、俺にとって掛け替えのない存在だったんだ。


 それなのに兄は、10年前突然姿を消した。








 警察官だった兄は


 母を殺して失踪した。








< 41 / 463 >

この作品をシェア

pagetop