ロシアンルーレット【コミカルアクション】
俺、思い出したんだよね。
俺が組織犯罪課に移動になった時、親父がわざわざやって来た。
「君の父上の達ての希望で、警視庁捜査一課から蔦山くんに来てもらった。蔦山くんは若手でありながら、すでに関係者の間では名の知れた一流の捜査官だ。父上も手離したくはなかっただろうが、愛する息子の為とココへ寄越してくれた。ゼロから全て教わるといい。」
赤城課長の口から歯の浮くようなセリフが繰り出されるのを、親父は横で満足気に頷きながら聞いていた。
そして、赤城課長の体裁トークが終わると、蔦山さんの肩に右手を掛け、
「蔦山、出来の悪い息子だが、頼んだぞ。」
と蔦山さんに対して溢れんばかりの期待に満ちた眼差しを注ぎ、息子想いの良き父親を演じきった。
「はぁ。」
蔦山さんは、初対面から無愛想で、親父に対しても素っ気無く、どうでもよさそうに返事をした。