ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 兄は10年の間に一層魅力の増した笑顔を俺に向けると、俺の質問に一つ一つ丁寧に答え始めた。


「目的は、ある人物からの依頼があったから。お前は全く関係ないが、組織に欠員が出たため、手伝ってもらう。


 お前が刑事ってことは知っている。でも正義を貫いてるとはお世辞にも言えないよな?謝礼は十分すぎる程用意してある。一生遊んで暮らせる額だ。それがお前の望みだろ?


 最後の質問、お前も知っての通り、身を隠す必要があった。ただそれだけのことだ。


 これで満足か?」


 兄の美しい笑顔からは何の感情も読み取れない。


 警戒してわざとそうしているのか、本当に感情がないのか…


 悪の組織に身も心も売り渡したんだとしたら、後者だろう。


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