ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 親父は潔く全てを諦めたように、フッと失笑を漏らし、


「お前はバカだが、鼻は動物並みに効くようだな。」


 といつもの俺を小馬鹿するような表情を見せた。


 そうだよ、それこそが実に親父らしい態度だ。


「だがもう遅い。」


 親父は一変して険しい形相となり、銃を握る右手は桜庭に向けたまま、左手をこれまた操作盤中央にある赤く丸いボタンに伸ばした。


 なんとも分かりやすい作りだよ。


 咄嗟に俺は、親父の左肩を打ち抜いた。


 その衝撃で親父は左半身を後方へあおられるも、すぐに体勢を立て直し、銃を握ったままの右手を赤ボタン目掛けて振り下ろした。


 途端、けたたましくブザーが建物内に一定のリズムを刻むように鳴り響き、親父の頭上にあるモニターの八桁の数字、下二桁が目まぐるしく回転し始めた。



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