ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 それを目にした親父が、また水を得た魚のようにアホトークを再開。


「自分の女を使って、勝手気ままにしか動かない皆人を思い通りに操るとはな…さすがだよ、龍一。」


 俺は一瞬自分の耳を疑った。


「その娘(コ)、安永前事務次官の娘だろ?一家全員消したつもりが、まさか生き残っていたとはな。お前がその娘を保護し、面倒みてるんだよな、違うか?」


 親父がそう続けざまに言い、俺は兄貴達を振り返るようにして見た。


「皆人、惑わされるな、全部ハッタリだ。」


 兄貴は動じる様子もなく、至って冷静にそう言った。


「仲睦まじい姿見せつけておいて、何が『はったり』だ。」


 親父が嘲笑混じりに言った。


 ノアは、兄貴の為に俺に近付いた…?


 道理で、いつも抜群のタイミングで俺の前に現れた訳だ。


 今思えば、ノアとの出会いから、何から何まで、どれも不自然なほど都合がいいシチュエーションばかりだったような気がする。


< 446 / 463 >

この作品をシェア

pagetop