ロシアンルーレット【コミカルアクション】
「さぁね。皆人自宅にもいなかったわ。どこ行ったかあんた知らない?」


 谷口の共感を促す言葉など素っ気無く流して、理沙は一方的に質問を重ねた。


 谷口は舌打ちしてから、


「どうせまた、ラベンダー畑で黄昏れてんだろ。」


 しぶしぶといったように質問に答えた。


「ふうん、ありがとう。」


 そう言って理沙は踵を返す。


 が、すぐまた振り返って、


「龍は?あれから見てないんだけど。」


 一番気になっている事を何気なく尋ねた。


「ああ、あの後一目散に恋人んとこへ旅立ったけど!?お前…知らなかったんだ!?なんでも、恋人の親父が経営する苺のビニールハウス栽培手伝うんだと。10年の工作員のキャリアと技術を生かして、苺栽培だぜ?うけるだろ?」


 理沙の心中を気遣ってか、谷口はわざとらしくふざけた口調で、面白おかしく言った。


< 459 / 463 >

この作品をシェア

pagetop