ロシアンルーレット【コミカルアクション】
「それを証言できる人物は?」


 決まり文句に余計にイラついて、益々ヤツの思う壺だった。


「いる訳ねーだろ?!一人で寝てたんだよ。」


「それを証言する家族以外の人間がいなきゃ、アリバイは成立しないことは知ってるよな?!」


 俺の動揺を楽しんでいるかのような、にやけた表情が心底ムカつく。


 俺が答えずにいると、ヤツは続けた。


「事件直後、現場のカジノの従業員、21歳女性が、店の奥の部屋から二人の人物が出て行くのを目撃している。一人は銀髪、ハーフっぽい顔、その男より数分遅れて黒髪の男が出て行ったと言っている。二人とも長身、美形だったのでハッキリ覚えていたそうだ。」


「だったら俺じゃないね。」


 俺は得意げに言った。


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