ロシアンルーレット【コミカルアクション】
「知るか!」


 何とか強がって吐き捨てるように言ったが、ヤツは乗り出していた上体を元に戻すと、軽く笑みを浮かべ、スッと立ち上がった。


 何ていうか…オッサンのくせに、立ち居振る舞いがスマートでムカつくぐらいカッコイイ。


「いずれまた、会うことになるだろう。」


 そう言い残して、ヤツが立ち去ろうとした時、


「バカ息子が、何か迷惑をかけたかな?」


 聞き覚えのある声に振り返ると、そこに居たのは紛れもなく俺の父親『有坂 周一』だった。


 ヤツの顔が一瞬、緊張で強張った。


 その反応に少し違和感を感じたが、さほど興味もなかったので、そのまま流した。


 ヤツはすぐに満面の笑みを作り出し、オヤジに向かって大げさにおどけて言った。


「まさか!ただ参考に少しお話を伺っていただけですよ。」




< 52 / 463 >

この作品をシェア

pagetop