ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 その時、店の電話が鳴りだした。


 もちろんノアの耳には届かない。


 数秒後、留守電に切り替わった。


「お電話ありがとうございます。フラワーショップ『サンライズ』です。ただいま…」


「皆人、いるんだろ?電話に出ろ。」


 留守電の応答メッセージに被せるように、聞き慣れた兄の声。


 俺は怯えるノアに、そのまま伏せているように、ジェスチャーで伝え、急いで電話に出た。


「何なんだ?」


 激しい怒りを顕わにし、俺は受話器に向かって怒鳴った。


 受話器の向こうの兄は、可笑しそうに笑うと、


「お前、相当その女に惚れてるなぁ。こっちはその女を撃つつもりは、さらさらないさ。ただ、いつでも消せるってこと、お前に知らせたかっただけだ。お前が俺に協力しないような薄情な弟だとしたら、その時は…


 その女には死んでもらう。」




< 67 / 463 >

この作品をシェア

pagetop