ロシアンルーレット【コミカルアクション】




 ------数日前------




 高級マンション最上階。


 無駄に大きなベッドの上で、でっぷりとした小柄な中年男に美しい女が抱かれている。


 女の口から漏れる甘く妖艶な喘ぎ声は、本物か、それとも演技なのか、女本人しか知り得ない。


 女は何気に薄く目を開いた。


 薄暗い部屋の中に、自分と自分の上で重い身体を必死に動かす中年男以外にもう一人、誰かいる。


 女は『ヒッ…』と短い悲鳴をあげた。


 いつの間に侵入したのか、寝室のソファーに深々と腰掛ける人影があった。


 最中に邪魔され、中年男が不機嫌に振り向いた。


 その人影が誰なのかは見当が付いていた。


「どうやって入った?」


 中年男が尋ねた。


「あんた俺の職業忘れたか?」


 人影が微笑み、白い歯がチラついた。








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