ロシアンルーレット【コミカルアクション】
「女を守る為に、罪のない子供を俺が殺すとでも思ってんのか?」


「それは君が決断すればいい。僕に尋ねるのは筋違いじゃないか?」


 コイツ嫌い。


 俺はほんの束の間、目の前の男を黙って凝視した。


 この男も兄貴同様、何を考えてるのか全く読めない。


「そんなに殺すのが嫌なら、拉致してこればいい。その場合、君が逃げ遅れ警察に捕まるというリスクを負うことになる。万が一拉致に成功したとしても、少女は海外に売り飛ばされ、死よりも辛い一生を送ることになるがな。」


 男はそう言って薄く笑った。


 俺が決断すればいいなどと言っておきながら、選択肢は無いに等しいこの要求。


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