ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 そして、これからノアに会うのなら、俺は別れを告げなければならない。


 ノアにとって俺はただの客。


 けど、こんなにストレートに彼女への気持ちを表現してきた以上、そして、俺のせいで彼女に『命を狙われる』という、とんでもなく怖い想いさせてしまった以上、きちんと最低限の事は伝えなきゃならないと思う。


 都心から少し離れた静かな場所に、ノアの住んでる1ルームマンションはあった。


 3階の一番東、303号室。


 ノアはもちろん、インターフォンも聞こえないからメールするようにと、赤メガネからノアのメールアドレスも教えられた。


 防犯システム完備のそのマンションは、当然のごとく住人に入り口を開けてもらわないと中にすら入れない。


 俺は閉ざされた扉の前で携帯を開いた。


 ここまで来て俺は、どうしても最後の一歩が踏み出せず、結局携帯を閉じてしまった。


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