ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 やっぱりチキンの俺。


 この花は、俺の汚い部屋に飾ればいい。


 俺の部屋なんかには、到底似合わないけど、俺とノアだって、それ以上に似合わないしね。


 携帯をジーンズの尻ポケットに戻し、俺は方向変換して歩き出してすぐ立ち止まった。


 目の前にノアがいたんだ。


 大きなエコバックを肩に掛けたノアが、俺なんかに優しく微笑んでいる。


 俺は自分の手にある花束と、ノアの可憐な笑顔を交互に見て自分が今どうすべきかを考えた。


 そして意を決して花束をノアに差し出した。


 ノアの笑顔が一層咲き誇った。


 ノアが受け取るのを見届け、俺は視線を外し歩き出そうとしたが、不意に引き止められた。


 ノアが俺の腕を掴んでいた。


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