ロシアンルーレット【コミカルアクション】
 一瞬、何が起こったかわからなかった。


 俺の胸の中に、しがみつくように張り付くノアがいた。


 俺はうまく頭が働かずに呆然とし、ただ、自分の手のやり場に困った。


 ノアは小さく震えながら泣いていた。


 なんで…なんで俺なんかの為に泣く?


 頼むからやめてくれ。


 ノア…


 日も落ちてすっかり黒くなった空を見上げ、このやり切れない想いと戦った。


 俺は両手をノアの背中に回そうとしたが、その手がノアに触れる寸前で思い留まり、ノアの両肩を掴んでそっとノアを俺から引き離してノアを見詰めた。


< 90 / 463 >

この作品をシェア

pagetop