ロシアンルーレット【コミカルアクション】
「ゼロから教えてやる時間はない。考えて行動しろ、いいな。」


 厳しさの中に優しさを含んだ兄貴の喋り方、あの頃と全く変わってない。


 全員が真っ黒な服で身を包んでおり、兄貴はさらに黒いキャップを目深に被ってはいるが、やんちゃな銀髪が後頭部からはみ出していた。


 いや、目立ちたくないなら、その銀髪はNGだろ?!


 10年の逃亡生活を送ってきた兄貴が、薄茶の髪を銀髪に染めてる理由がまるでわからない。


 俺はそんな呑気なこと考えていた。


 そんな俺に、兄貴はイラつきを顕わにしつつも、


「一家全員の寝室が二階にある。あの窓から侵入する、付いて来い。」


 と冷静な口調で言い、顔を振ってその窓を指した。


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