ありがと。
 ―――中2の、夏休みの時。
 私は、友達2人と一緒にカラオケに遊びに行っていた。
 学校ではもちろん禁止されてたけど、そんなの完全無視。
 「私ちょっとトイレいってくるねー」
 「行ってらー♪」

 私がトイレへ行こうと部屋を出た、その時だった。
 ふいに、背後から押し倒される。
 「きゃああっ!だ、誰・・・っ!!」
 「君・・・中学生?ちょっと付き合えよ」

 40代くらいの男。
 全身の毛がぞわぞわと逆立つのが分かった。
 汚い手が、私の体を次々となぞる。
 「――――ッ!」
 ビクビクと体を震わせる私の反応を楽しむかのように、男は続ける。
 
 やがて、その手はスカートの中に・・・
 「おっ、かーわいいパンツはいてんじゃねーか♪」
 と言いながら、私の下着を脱がせた。

 「や―――っ!やだああ!」
 「うっせーな!静かにしろ!!」
 「やだぁっ!!触らないでえ!やあっ!!」

 ・・・そこから先は、よく覚えていない。
 覚えているのは、しばらくして、カラオケ店に入ってきた警察に、男が連れて行かれるところを見たことくらいだ。
 
 そんなことがあってから、私は『男性』という存在に、恐怖にも近い感情をもつようになってしまった。
 ・・・お父さんは、まあ嫌だけど、恐怖とかそんなのはないし。

 私の斜め下、顔に傷を負って倒れている男子を見る。
 何回か、こうやって私にやらしく触ってきた男子を、こういう風にボコボコにしてしまった過去はある。
 だって、しょうがないじゃん。キモいし、怖いんだもん。

 しかし、私がその後。
 「お前何やってんの?職員室来い」
 と、教室に入ってきた先生に、職員室へ連れて行かれたのは、言うまでもなく。
 最悪だ!!
 よりによって入学初日に!!

 「はぁー・・・」
 たっぷり30分後。早乙女愛、ようやく解放されました。
 「愛ちゃんお疲れ。」
 幼なじみの紗耶香が声をかけてくれる。
 もう神に見える・・。

 「紗耶香ぁー・・・もう最悪・・・」
 と私が言った直後、
 「「キャァァァー!!」」
 という黄色い歓声が上がった。
 
 



 


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