現実RPG2
「マーダーを倒すと、ルイを倒せなくなるの!」


「だから、何でだよ?」


「それは……」


言葉に詰まるルカ。これは、ルカの決定的なミスだった。


ルカが敵。それが、ほぼ決定的になった。


知的なルカが、ここまで取り乱すとは思わなかった。


ルカはマーダーの存在を、拓馬に話すのを忘れていた。


従って、ルカ自信もマーダーに対する説明の準備を忘れていた。


拓馬による、急なマーダーの問いかけ。


準備をしていなかったルカは、咄嗟の真実にウロたえてしまった。


その結果が、今の獣のようなルカを生み出してしまった。


このルカの表情は、そう取って間違いないだろう。


「……行こう、拓馬。これ以上、コイツと話していても時間の無駄だ」


そう言って、歩き出すルイ。


それに拓馬が続こうとした矢先、ルカが鋭く立ち憚った。


「通さない。絶対に」


ルカの目は、もはや人間と思えなかった。殺人鬼だ。


「例え私が死んでも、ここだけは死守する」


剣を構え、二人を見据えるルカ。


やはり、マーダーを倒されて都合が悪いのはルカのようだ。


「……どうする、拓馬?」


拓馬の判断を待つルイ。


どうやら、倒さなければ通してくれそうにない。


「……やるしかないな。ルイ、一つだけ、頼みがある」


ルカに聞こえないよう、ボソボソと話す拓馬。
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