現実RPG2
そう思った瞬間、ルカが目の前から姿を消した。


「?」


ザン!


見えなかった。


視界が、暗くなっていく。


腹部に、焼けるような熱さを感じる。


これは、火傷によるものではない。


切られた。


拓馬はお腹を押さえながら、蹲るようにして倒れた。


強烈な痛みが全身を襲い、地震のような震えが体中を駆け抜けた。


腹部は熱いのに、寒気がする。


「何で……何で、信じてくれなかったの……」


ルカの声がする。


拓馬は顔を上げると、ルカが無表情で立っていた。


「……」


何か喋ろうとしたが、無理だった。


口いっぱいに生暖かい鉄の味が広がり、血がセリフを遮った。


朦朧とする意識の中、ルカの足元に拓馬の視線が重なる。


「!」


あれは……ライトニングの跡だ。


地面の中で、まだ息をしている。


「ルカ……お前は……何者なんだ……」


途切れ途切れに問いかけた。


その言葉に、ルカは鼻で笑うと、冷酷に言った。


「私は、組織の人間。それ以上でも、それ以下でもないわ」


それとほぼ同時だった。


拓馬は全身の力で右手を上空にかざすと、叫んだ。
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