現実RPG2
「ふざけるな。お前が母を語るとは思わなかった。死ね」


と、ルイがマーダーに手のひらを向けた。


「元気でね、ルイ」


そのマーダーの言葉と同時に、ルイの頬を暖かいモノが伝った。


これは……涙……どうして……?


……撃てない。撃てない!


「一体、お前は何者だ!」


わからない。わからない!何がどうなってる!


「馬鹿ね。私は、アナタの母親よ」


「嘘ついてんじゃねぇよ!俺と年が変わんねぇだろうが!」


「忘れちゃったの?私は、魔法を使うと若くなるの」


……そんな馬鹿な。


母は……母は、魔法なんか使えない。


使えねぇ、絶対!


だが、マーダーのセリフの一つ一つに、俺の心臓が鳴る。


俺は、何か重要なことを忘れている……。


だが、俺は拓馬ではない。魔法を使っても、記憶を失わない。


そのとき、ルイの全身を鳥肌が駆け抜ける。


さっきの戦闘は、明らかにおかしい。


どうしてマーダーは、当たる距離にも関わらず、俺や拓馬に水色の魔法を撃ったんだ?


あそこで撃つなら、ブラックホールだ。瞬殺できたはず。


勝つ気がないから。
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