現実RPG2
「何でだよ……」


思わず、声に出るルイ。


マーダーは、俺と拓馬に勝つ気がなかった。負ける気だった。


「マーダー……一つ、聞いていいか」


「……何?」


微笑ながら、ルイの言葉を待つマーダー。


「お前の読心術……魔法と同時に、使えるよな?わざと俺たちの魔法を喰らってた」


「あら、バレちゃってたの?」


驚いた様子のマーダー。


違う……気づいたわけではない。


俺の記憶の片隅に……覚えていた。


読心術は、技。魔法ではない。よって、魔法と一緒に使うことができる。


母から、そう聞いた記憶がある。


だが……今の今まで、忘れていた。


理由はわからないが、確実に、何らかの記憶を失っている……。


思考回路が停止してくるルイ。


一体、何が起きてるんだ。


このマーダーは、本当に母親なのか……?


それなら、俺は一体、何のために今まで……


バン!


「……え?」


突然、光の弾がマーダーを襲った。


マーダーは、ピクリとも動かなくなった。


「おい……拓馬?」


よくわからない表情をしたまま、立ち尽くす拓馬。


「何やってんだよ、ルイ……何で、早くトドメをささねぇんだ」


おい……拓馬……


何をしたか……今、何をしたか、わかってんのか!


「拓馬!この野郎!」


怒り狂い、拓馬の胸ぐらをつかむルイ。
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