現実RPG2
「あぁ、全然わかんねぇ」


「自分の正体も?」


「いや、俺の正体はわかる。正真正銘の、人間だ。ゲームの中の人なんかじゃねぇ」


「ふーん。つまり拓馬が言いたいのは、ゲームの中に居たときの記憶だけが飛んじゃってる……そう言いたいんだね?」


「まぁ……」


「そっか。じゃあ、今回のクリア条件も知らないんだね」


「あぁ。でも、だいたい察しはつく。こっちの世界で、ルイを見かけた」


「アークデーモン?」


「そう。アイツがこっちにいるってことは、おそらく、もう1回ルイを倒すことが今回のクリア条件のはず……」


「ご名答。そうだよ。ルイを倒せば、このゲームはクリアできる」


「やっぱりな」


「ただ、簡単にはいかない。確かに、私がいればルイを倒せるかもしれない。でも、問題がある」


「問題?」


「ルイの親父。竜太ってやつがいる」


……何だと?


じゃあ、もしかして……あのとき俺を匿ってくれた竜太は、モノマネじゃなくてルイの親父だったのか?


なるほど。ルイが1章で名乗った『竜太』は、親父の名前だったのか。


「さっき会った。このゲームが始まってから、俺をボーンから匿ってくれたんだ」


その拓馬の言葉に、ルカから表情が消える。
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