現実RPG2
「組織は、こう考えた。ゲームで育てた人造人間を何体もゲームから出してしまうと、我々の手に追えなくなる可能性がある。呼び出す人造人間は、一体だけにしよう」


「それで?」


「俺は、お前の記憶を呼び覚ますための、ただのコマとして使われたんだ。元々存在したアークデーモンも、昔、大魔法使いを倒すほどの実力を誇っていた。だがそれも今では衰え、その辺の人造人間なら誰もが倒せる程度の弱い奴に成り下がっていた。その程度では、倒したからと言って拓馬が強いとは限らない。だからこそ、組織は、人造人間である俺とお前を戦わせた。母は、俺をその気にさせるためだけの人質だったんだ。見事に使われた。俺に、拓馬を殺す勇気は無い……そう考えられた」


「待て、その話が本当だったとして、母ってどういうことだ?人造人間なんだろ?」


「もちろん、俺もお前も最初はただの人だった。その人間に、魔法を埋め込まれたんだ。生まれは人間だから、もちろん親は存在する」


半信半疑の表情を見せる拓馬。すでに、ルイとの戦闘意識は無くなっているようだ。


「組織は人造人間を、戦争の殺人兵器用に一体だけ選んだ。それが、お前だ。あとは、封印されたり、組織に雑用として使われたり、さまざまだ。ほら、居ただろ。大魔法の石をくれた、大魔法使いたち。あいつらも、危険要因として封印されたんだ」


「お前は?」
< 71 / 129 >

この作品をシェア

pagetop