現実RPG2
「俺は、なんとか組織から逃れ、現実の世界でひっそりと暮らしていた。でも、ある日……ポストに一通の手紙が入っていた。内容は、『宝くじで一等が当たりました。詳しい説明をしたいので、今からお電話させていただきます。』俺は浮かれながら、電話に出た。それで……やられた。その番号は、俺をゲームの世界へ飛ばした。クリアしないことには、二度と現実の世界へ帰れない。俺は、しぶしぶアークデーモンを倒した」


「でも、母親が捕らわれた」


「そういうわけだ。本当に馬鹿だった……だいたい、宝くじの当選者の住所や電話番号なんてわかるはずがない。それでも当時の俺には、金が必要だった。1億円だぞ。そんな大金が入れば、あとは少しバイトでもすれば、目立たずに暮らせる。組織にバレることもなく、家族で幸せに暮らせるはずだったんだ……」


「聞きたいことが山ほどあるけど……お前、確か言ってたよな。現実の世界は存在しない。現実は、このゲームの中だけだって」


「俺やお前にとって、現実はゲームの中だ。物心ついたときからゲームの中で育ってきた。人間だが……紛れもなく、ゲームの中の住人だ」


「お前の話が本当なら、そうかもしれねぇけど……」


「芝居をうつ必要があったんだ」
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