現実RPG2
「ふーん。じゃあ、何で俺には見えない?」


「え?」


「理由は何だ?」


「お前……通行人が、見えないのか?そんなはずはない……」


「見えねぇ。見えねぇんだよ……」


微かな記憶が、拓馬に蘇った。それは、遠い昔の話。







ここは……そうだな。広い草原。


日本には、こんな場所はないだろう。


どこまでも続く、緑色の草原。まるで、終わりが無いようだ。


その中に、人々がたくさん歩いていて、俺とルイは木のベンチのようなものに腰を掛けていた。


ルイは、言った。


「見ろよ、あいつの髪型。パイナップル見てぇだな」


俺は、こう返した。


「え?どいつだよ?」


ルイは、言った。


「ほら、あいつだよ、あいつ。あの武器屋に出来た人だかりの、真ん中の方にいる奴。ちょうど、拓馬の正面じゃねぇかな?」


俺は、言った。


「だから、どいつのことだよ?」


ルイは、言った。


「なんだよ、人が多すぎてわかんねぇか」


俺は、答えた。


「いや、人なんて一人も見えない……」


そこで、俺の記憶が途切れた。





今、俺に起こっていること。通行人が見えない。それは、今回が初めてではないようだ。


しかしそれについて、全くルイは触れようとしない。何故、しらばっくれる必要がある。


答えは一つ。


ルイは何かを、隠さなければならないからだ。
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