現実RPG2
「じゃあ、次はこっちの番だな」


次の瞬間、右の腹に熱いモノを感じた。


全身から力が抜け、クロを落としてしまう。


「あぁ……あぁああ……!」


刺された。


速過ぎて、見えなかった。


じわじわと襲いかかる、猛烈な痛み。


拓馬は腹部を押さえながら、歯を食いしばって両膝をついた。


体が麻痺したように痺れ、寒気が襲ってくる。


痛い……!この世の痛みとは思えない……


眉を歪め、苦しみながら上目遣いでジェネラルナイトを見る拓馬。


しかしジェネラルナイトの視線は、拓馬の足元を見ていた。


コイツ、何を見てる……?


「何だ、その犬は」


と、盾を置いてクロを拾い上げるジェネラルナイト。


「おい……そいつに……触るな……!」


途切れ途切れに言う拓馬。


「ククク。お前のペットか」


と、クロに槍を構えるジェネラルナイト。


まさか……


「おい、やめろ!何する気だ!」


「串刺しの刑だ。後で焼いて喰う」


「やめろ!犬に罪はねぇだろ!」


「ハハハ。馬鹿か、お前。お前だって、牛や豚を喰うだろう」


「頼む……。そいつだけは、助けてやってくれねぇか……。何でもする。俺を殺したければ、殺せ。でも、そいつだけは」


そのときだった。


ジェネラルナイトの槍が、クロを貫通した。
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