現実RPG2
傷が完全に消える頃、ルイはジェネラルナイトを倒していた。息を乱し、相当苦戦した様子だ。


「拓馬」


「助かった、ルイ……ちょっと待ってくれ。クロ!」


と、慌ててクロの元へ駆け寄る拓馬。


クロは白目を向いていて、ぐったりとしている。


「おい、ルイ!薬草だ!薬草をくれ!」


「馬鹿言うな。犬なんかに、貴重な薬草を使う気か」


「くれって言ってんだろ!1個くらいいいだろうが!」


「ダメだ。それに、そいつはもう死んでる」


ルイの言葉に、何も言い返せない拓馬。


死んでいるのを認めたくなかった。


唇をプルプル震わせる拓馬。


「こいつはな……俺の相棒なんだ。相棒が死んで、ほっとけるか!ルイ!薬草だ!」


「無駄だって言ってんだろ」


「どうしても無理なら、お前を倒して力ずくで手に入れる」


と、ルイに構える拓馬。


「おいおい、落ち着けって!助けたい気持ちはわかる。だが、そいつはもう……」


「うるせぇ!うるせぇんだよ!」


叫び散らす拓馬。その拓馬を見て、ルイは真顔で言った。


「じゃあ……もし、今、お前に薬草をくれてやったら……俺を信じてくれるか?」


「え?」


「俺を信じるのかと聞いてる」


「わかった、お前を信じる」


「言葉だけじゃダメだ。心から信じてくれ」


「わかってる!心から信じるよ!」
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