Dangereuses hospital
退路を断たれ、自ら命を絶ったのか。

だが事実は違った。

屋上の下を見下ろそうとした俺の目前に。

「っっっっ!」

一機のヘリが上昇してくる。

そのヘリに、八戸は飛び移っていた。

そういえば彼女は呟いていた。

『そろそろ迎えが来る』と。

ヘリのローターによる突風と爆音。

吹き飛ばされそうになり、目を細める俺の前で。

「!」

一瞬だけ、無表情な筈の八戸が、僅かな微笑みを見せたように思えた。

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