Dangereuses hospital
だが、この事件の犯人にいたっては、それがない。

まさか目的もなく病院を占拠した訳じゃあるまい。

「犯人の人員や人質の位置や人数は?」

六道さんの問いかけに、森脇隊長は首を横に振る。

「迂闊に近づけば内部から自動小銃で発砲される。中の様子も探れやしない。それに…」

ふと、森脇隊長の声が潜まった。

「連中…病院の出入り口という出入り口にトラップを仕掛けてやがる…扉に振動が加わるだけで爆発する爆弾の類だ…ありゃ小銭をせしめに事件を起こしたチンピラじゃねぇな…この手の立て篭もりに慣れていやがる」

篭城戦に慣れた武装グループ。

そこらの銀行強盗とは訳が違う。

病院を占拠した武装グループの中に…或いはグループ全員が、戦闘訓練を受けたプロである可能性があるという事だ。

「成程ね」

六道さんが溜息をついた。

「外事四課が呼ばれる訳だ」

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