Dangereuses hospital
『うるせぇっ!』

興奮しているのか、冷静な話し合いは出来ないタイプなのか。

犯人の発言は要領を得ない。

「君らの要求を聞かせて欲しい。金か?それとも大義あっての行動なのか?ここまでの大規模な行動を起こしたからには、相当な覚悟があっての事だろう。まさか小銭をせしめる為に人質をとるような、君らはそんな小者には見えないんだが」

上手い。

六道さんは犯人の自尊心をくすぐりつつ、上手く武装グループの要求を聞きだそうとしている。

しかし、感情的なようで犯人もなかなか頭が回る。

こちらの誘いに容易には食いついてこない。

と…。

「!」

偶然視線を向けた病院の2階の窓。

その窓のブラインドの隙間から、一瞬だけ誰かがこちらを覗いたのが見えた。

犯人か?

人質か?

そこまでは確認できない。

だが確かに、俺は見たのだ…。

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