Dangereuses hospital
どちらも助けたいというのが偽らざる本音だ。

しかし、そんなに上手くいくとは思えない。

このまま朝霧をこの場に残して、ハルカを助けに行っていいものなのか…。

苦悩する。

そんな俺を。

「ながせ…くん…」

朝霧の手が、握り返してきた。

弱々しく、控えめな力で、俺の手を握り返す。

頼りなく、儚げでさえある。

とても一人でこの状況を乗り切れる筈もない、朝霧の手。

だが、その手は雄弁に語る。

『私は大丈夫だから、二宮さんを助けに行って』と。

< 86 / 122 >

この作品をシェア

pagetop