Dangereuses hospital
「ハルカ!」

一歩踏み出す俺。

しかし。

「おおっと、そこまでだ」

部屋の隅に立っていた犯人が歩み出してくる。

その手にはメス。

恐らく手術室に準備されていたものだろう。

照明の光を反射し、鋭い輝きを放っている。

「目の前で自分の女が解剖されるのがお好みか?」

犯人はメスの切っ先をハルカの喉元に突きつけ、目出し帽の下で薄笑みを浮かべた。

プツリとハルカの白い肌に僅かに突き刺さる、メスの尖端。

微かに血が伝うのが見えた。

< 93 / 122 >

この作品をシェア

pagetop