Dangereuses hospital
「……っ」

歯噛みする。

動けない。

不用意に動ける筈がない。

俺が拳銃の引き金を引くのと、犯人がハルカの喉笛を切り裂くのと、どちらが速いかは言うまでもない。

例え俺の射撃が命中したとしても、残った余力でハルカの喉を貫く程度は造作もない事だろう。

ハルカを生きて救出しなければ、何の意味もない。

「ハルカ…どうして来ちまったんだ…!」

今更どうにもならない事を悔いて、呟いてみる。

「あ…あんたこそ…っ」

いつも気丈なハルカが、流石に動転しているように見えた。

「警察に勤めてるなんて言ってなかったじゃない…!」

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