こころ
プロローグ

中学受験の時、塾のクラスには男子しかいなかった。
10人、15人のクラスに、女子はあたし1人だけ。最初は、どうしていいのか、どういう態度でいていいのか、わかんなくて、気づいたら、なんとなく怖くなってた。"男子ばっかり"が怖かった。
開始ギリギリに着いて、あたった時以外は声も出さなかった。教室内で自分から喋ったのは2回。ある1人が友達の友達で、預かったっていう手紙を渡してくれた時の「ありがとう」。それと、問題配って先生がどっか言っちゃった時の「静かにして」。少なくとも5分は、言おうかどうか、なんて言えば良いか、迷って、考えて、やっと声に出せた。その7音はかすれて、自分でも恥ずかしいくらいだったけど、声になってホッとしたのも覚えてる。
当時嫌いだった言葉は「紅一点」。国語の問題に出てきて「まさに榮峰のことだな」って言われるのが嫌で、国語の度に祈ってた。文字通りの紅一点にならないように、塾の日は必ず、青っぽい服を着てった。

でもたぶん、あの時は"男子ばっかり"っていう環境が怖かっただけ。初めてで、戸惑ってただけ。だって、学校では話せてたから。


そういえば、中学に入学したての時は、男女の仲良さに驚いた。フツーに男女1:1はアリだし、名前で呼び合ってたり、肩たたきあったり。後から、小学校もそんな感じだったこと思い出したけど、あの時はとにかくびっくりした。

中学受験の時の小さなトラウマは、すぐに忘れた。"男子ばっかり"の中の1人で、同じ学校の人とも仲良くなったし。
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